ライナーノーツ1995.4.1
今から20年前の1975年8月25日、ジャズ喫茶「イントロ」はオープンした。そして丸20年。その間に俺は一回結婚して、二人子供を育て、三回引っ越して、どこにでも転がっている40代のオヤジになった。撃ち合いのない西部劇みたいに見せ場のない我が半生に、多くの人はアクビをしてしまうだろう。ところがどっこい、平穏に終えるはずの俺の人生を、イントロはメチャメチャ楽しいものにしてくれている。酒とジャズがあればゴキゲンな、楽しい人達との出会い。そう、今この文を読んで下さっている貴方のことだ。その数多くの素晴らしい出会いのおかげで、このCDは誕生した。参加者全員が、イント口では客と呼んでもらえない位の常連で、素人ミュージシャン。彼らがジンセイ棒に振って?汗をかきかきジャズを演っている。その熱さは時に、テクニック溢れるプロの演奏を越える感動をもたらす。なまいきだが、その証としてこのCDをお届けしたい。
徹夜に徹夜を重ねた録音技師、海瀬さん、ジャケット制作の村上君、良きアドバイザー春秋君、プロなのにゲストで参加してくれた岡部さんと佐藤の達っつぁん、みんな開店以来のよしみでつきあってくれた。ビクターのディレクター駿河、城野両氏も応援で一曲演ってくれた。みんなみんな、ありがとう!
最後に、我が親友、野口伊織兄がアルトサックスで特別参加、「キチジョージア・オン・マイ・マインド」の名演奏を残してくれたことも御報告したい。伊織兄の老舗ライブハウス、吉祥寺「サムタイム」もイントロと同年7月25日の開店なのだ。録音の合間に、20年前の苦労話ならぬバカッ話に、花が咲いてしまった。
“昔は良かったね…..でも今だって捨てたもんじゃない”
そして最後の最後に、20年間イントロに声援を送って下さった方々、そして今、このCDをニンマリ聴いて下さっている貴方、心からありがとう!
1995年4月1日
ジャズ喫茶イントロ店主 茂串邦明